膨張する“モバエコノミー” ― 日経ビジネス

・株式取引ソフト「iスピード」

朝8時55分。

東京近郊のオフィスで働く会社員の狛江和宣氏(仮名、40歳)は、
携帯電話を手に席を立ち、急いでトイレに向かった。

個室に入っても、ベルトには手をかけない。
代わりに携帯電話を取り出し、株の売買を始める。

証券市場が開き、相場が大きく動く朝9時からの30分間が真剣勝負の時だ。
前日から持ち越した取引を片づけることに集中する。

トイレの個室で株式取引に勤しむトレーダー、いわば「トイレーダー」は、
もはや珍しい存在ではないそうです。

「会社から株の取引を禁じられているわけではない。
だが、机のパソコンで取引している姿を同僚に見られると気まずい。
だからトイレに行く。同僚もトイレにこもっている。
口にはしないだけで、株をやっているはず」(狛江氏)

狛江氏の頼れる相棒は「iスピード」という携帯電話用の株式取引ソフト。
楽天証券が提供するそのソフトは、ボタン操作で株価のチェックと注文ができる優れものです。

ソフトの代金は無料で、3月上旬時点で累計21万件のダウンロードされているそうです。

銘柄ごとに価格別の注文株数が表示される「板情報」はもちろんのこと、
「ロウソクチャート」も表示でき、株価の自動更新の間隔は最短5秒と、
ほぼリアルタイムと言っていいくらいです。

「このソフトは、瞬時の判断が求められるデイトレードの必需品」と狛江氏は言います。

「会社のトイレで取引をする勤め人の方は本当に多いらしい。
パソコンを持たない高齢者が、携帯電話だけで取引しているという話も聞く」
iスピードを提供する楽天証券マーケッティング部の片岡直毅氏は言います。

「今や、携帯電話での約定件数は全体の1割。この分は以前からの上積み」(同氏)

楽天証券と前後して、マネックス証券や松井証券など競合会社も相次いでこのサービスに参入いています。

先端の取引ソフトが加わって新しい投資層を広げる。
これぞモバイル経済市場「モバエコノミー」です。

就業中の後ろめたさをはらみながら「トイレーダー」は増えるかも知れません。
ちなみに私は「トイレーダー」ではありません。(笑)

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